診療実績と内容

平成27年度 診療実績

手術別件数

脳腫瘍手術(定位放射線治療含む) 203
血管系手術 114
(うち血管内治療) 71
機能系手術 80
脊椎脊髄手術 113

水頭症手術

57

奇形手術

5
外傷性手術 27
感染手術 0
その他 0
599

外来診療実績

平成27年度外来診療患者総数:13550名

入院診療実績

平成27年度脳神経外科入院患者総数:836名

各疾患分類の内容

脳腫瘍担当医:藤本康倫、香川尚己、有田英之

血管・外傷担当医:中村元、西田武生

  • 脳血管内治療

神経機能疾患担当医:齋藤洋一、貴島晴彦、押野悟、平田雅之、細見晃一、柳澤琢史、後藤雄子

脊椎・脊髄疾患担当医:岩月幸一、大西諭一郎

小児神経疾患担当医:香川 尚己

脳腫瘍

悪性グリオーマ

グリオーマとは

脳を形成するグリア系細胞から発生する腫瘍群であり、脳腫瘍を代表するものです。悪性度は良性で分化した細胞に相当するgrade 1から未分化な細胞に相当するgrade4までの4段階があります。腫瘍が発生した場所の機能障害(局所症状)があらわれたり、腫瘍周囲に浮腫を伴ったり、髄液の流れを妨げて頭蓋内圧亢進症状が出現したりします。良性のものは治癒することもありますが、悪性のものは治療抵抗性です。

MRI, MEG, fiber tracking, PETを融合したマルチモーダルナビゲーションシステムにより脳機能を温存しながら腫瘍を最大限摘出することが可能になります。

一般的な治療

治療は外科的な摘出術が基本ですが、摘出が不能な場合や悪性度の強いものは、放射線治療、化学療法、免疫療法を組み合わせた集学的治療が必要になります。

当科での治療

私どもの悪性グリオーマに対する治療方針は、MRI、PET、MEGなどのマルチモーダルな画像を搭載したナビゲーションシステム、術中蛍光診断 (5-ALA)、さらに必要に応じて覚醒下手術による言語マッピングなどを行い、まずは最大摘出を目指します。その後、放射線/化学療法を積極的に行い、相対的に良好な生存期間を得ることができています。加えて、WT1免疫療法ペプチドワクチンの臨床試験を行っており、その有効性が示されました。

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下垂体腫瘍

下垂体腫瘍とは

下垂体に発生する良性の腫瘍で、ホルモン分泌するものと分泌しないものに分けられます。前者のなかには巨人症、先端巨大症、クッシング病、無月経―乳汁漏出などを症状として呈し、後者は視力障害を呈して発見されます。最近は脳ドックで偶然発見されることも多いようです。

一般的な治療

経蝶形骨洞手術、開頭術、薬剤、放射線治療が腫瘍の性質、大きさによって複合的に選ばれます。

当科での治療

必要性、ご要望に応じて、鼻の穴からの内視鏡手術も行っていますし、薬剤治療も選択できます。放射線治療としてサイバーナイフもあります。全国でも下垂体腫瘍の手術件数が多い施設として、日本間脳下垂体腫瘍学会で紹介されています。

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髄膜腫

髄膜腫とは

脳・脊髄をつつむ髄膜(硬膜、くも膜)から発生する良性腫瘍で、結果として脳・脊髄を圧迫して、発生した部位により様々な神経症状をひきおこします。好発部位がわかっており、稀には悪性のものがあります。

一般的な治療

手術による摘出を行い、神経症状を改善するのが一般的です。

当科での治療

ナビゲーションシステムや電気生理学的モニタリングを用いて、脳・脊髄症状を悪化させることなく、 最大限の摘出をめざしています。出血しやすい腫瘍の手術ではラジオ波による焼灼術を併用し、頭蓋底や 脳深部に発生したものでは術中蛍光診断を用いて、摘出率の向上を図っています。さらに、残存腫瘍や 再発腫瘍に対しては、手術のほか、定位的放射線治療(サイバーナイフ)を行っています。

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聴神経腫瘍

聴神経腫瘍とは

聴覚や平衡感覚を脳に伝える働きをする聴神経の鞘から発生する良性腫瘍で、聴力低下や耳鳴りなどの症状をひきおこします。腫瘍が大きくなった場合、隣接する小脳や脳幹の症状に加え、水頭症の原因にもなり、重篤な症状が出現します。

一般的な治療

原則的に、大きな腫瘍は摘出術、3cm以下の小さなものでは手術か定位的放射線治療が行われます。手術では腫瘍周囲に走行する顔面神経の温存を図りながら摘出します。

当科での治療

年齢や腫瘍の大きさ、形状により手術か定位的放射線治療(サイバーナイフ)を選択していただきます。顔面神経温存はもとより、電気生理学的モニタリングを行いながら症例により聴力温存を目指した手術も積極的に行っております。

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悪性リンパ腫

悪性リンパ腫とは

頭蓋内に原発する節外性の悪性リンパ腫であり、大部分が免疫学的にB細胞リンパ腫で、比較的高齢者に多く、全原発脳腫瘍の2~3%を占めます。特徴的な症状はなく、ブドウ膜炎による眼症状が20~50%にあります。症状発現からの経過が早いことが特徴です。

一般的な治療

基本的には定位的腫瘍生検術により診断をつけ、メソトレキセートを含む化学療法、放射線療法が治療の主体になります。

当科での治療

私どもは個別の治療内容、とくにメソトレキセート急速大量化学療法を行い、さらに難治性あるいは再発時に定位放射線治療を加えて、悪性リンパ腫の全治療生存中央値64カ月を得ていますが、高齢者になるほど治療経過が悪くまた高次機能障害の合併症が出現しやすく、これからの課題です。現在、臨床研究として「中枢神経系悪性リンパ腫の予後分析」を行っております。

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小児脳腫瘍

小児脳腫瘍とは

小児がんの中で、脳腫瘍は白血病について第2位の数を占めます。化学療法の進歩に伴い白血病の大部分は治る病気となってきており、現在は脳腫瘍が死亡率の第1位です。また、頻度の多い小児脳腫瘍として、星細胞腫、髄芽腫、胚細胞性腫瘍、頭蓋咽頭腫、上衣腫などが挙げられます。 成人では約9割の脳腫瘍が大脳に発生するのに対し、小児では約6割が小脳や脳幹に発生します。また脳の正中部付近に発生しやすく、脳脊髄液の循環障害により水頭症になりやすいことが知られています。また、この水頭症や急激に大きくなる性質などにより、頭痛や嘔吐、意識障害などの頭蓋内圧亢進症状が起こりやすく、緊急で治療を要する場合があります。また、小児脳腫瘍は組織型が非常に多彩で、正確な病理診断が難しい場合があります。経験が豊富な病理医による診断および小児脳腫瘍に詳しい脳神経外科医による判断が重要となります。

小児脳腫瘍の治療

治療は、外科的治療、放射線治療、化学療法に大別されます。良性腫瘍は手術摘出により治癒するものもあります。画像誘導手術や顕微鏡、内視鏡などの技術を用いて、摘出率を向上させ合併症の少ない治療を行っています。悪性脳腫瘍の場合は、外科的治療だけでは治癒出来ず、外科的治療、放射線治療、化学療法の3つを組み合わせる治療が必要です。悪性神経膠腫、髄芽腫、胚細胞性腫瘍などの腫瘍の場合は、診断が確定した段階で、速やかに化学療法や放射線療法を行います。今まで成績の悪かった悪性度の高い腫瘍や再発性腫瘍に対しても、定位放射線治療や大量化学療法を行うことにより生存が得られるようになってきております。 更に、脳腫瘍も長期生存例が増えるに従い、晩期障害についてのfollow upも必要となってきています。当院では、晩期障害を減らす試みも行っており、治療後も長期間follow upしております。

当科での治療

小児脳腫瘍の治療には、チーム医療が必要です。脳神経外科医、小児腫瘍医、放射線治療科医、病理医に加え、看護師、臨床心理士、チャイルドライフスペシャリストなどの役割も重要です(図1)。当科では複数の専門家が月2回の検討会に参加し、包括的な診療を行っております。異なった治療法を最も効率的に組み合わせて最良の効果を得る集学的治療法を積極的に推進しております。適応のある患者様には、WT1免疫療法も小児がんに対して行っております。

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血管・外傷

もやもや病

もやもや病とは

もやもや病とは、脳の働きを支える太い動脈が閉塞してくることにより、脳虚血発作、脳内出血、てんかん、頭痛など様々な症状をもたらす原因不明の病気です。

一般的な治療

脳の虚血症状で発症する場合には、外科的治療として脳にバイパスを作ることで、症状を予防し重篤化することを防ぐことができます。バイパスの方法には、直接吻合術と間接吻合術があります。

当科での治療

当科では、従来のSPECTに加え、PETや脳磁図(MEG)の検査を行い、脳循環代謝、脳機能の評価を行っています。また、小児例では、小児科医と共同で診療にあたることで、行き届いた治療・フォローアップを行っています。さらに、確実なバイパス術を行うために、手術シミュレーションシステムの開発研究も行っています。

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神経機能疾患

てんかん

実績(2003年からこれまで)

てんかん手術件数 93例
小児 35例
電極留置術 23例
側頭葉てんかん 42例
側頭葉外てんかん 14例
脳形成異常 19例
器質性病変 16例

髄膜腫、グレードII 以上のグリオーマ以外)

大阪大学でのてんかん外科の特徴

  • 小児科、放射線科、精神科との協力での診療体制
  • 他施設との合同カンファレンス
  • 多角的な検査

神経心理学的検査
電気生理学的検査:脳波、脳磁図、長時間ビデオ脳波
画像検査:MRI、核医学検査(統計学的解析)(図1)
神経機能検査:脳磁図、ワダテスト
頭蓋内電極による検査:詳細なてんかん焦点の同定、神経機能局在解析(図2)

  • ナビゲーションシステムを用いた安全で低侵襲な手術(図3)

図1 統計学的核医学画像解析。海馬、側頭葉での糖代謝の低下を明瞭に認める。

図2 硬膜下電極を用いたてんかん焦点と一次運動野の解析。丸印は電気刺激で誘発された運動を示す。

図3 ナビゲーションシステムを用いたてんかん手術。画像 上にプローベの先端が示される。

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難治性疼痛(難治性神経障害性疼痛)

難治性神経障害性疼痛とは

知覚を末梢から大脳まで伝達する経路に障害が生じ、結果として慢性的な不快な痛みが生じた状態です。

一般的な治療

特効薬はなく、うつ病の薬、てんかんの薬、一般的な鎮痛薬が使われますが、あまり効果がありません。

当科での治療

ナビゲーションガイド経頭蓋磁気刺激療法(治験中)をまず受けていただきます。その効果に基づいて脳脊髄刺激療法、脊髄後根進入帯破壊術などの治療を患者さんのニーズに応じてご提案させていただきます。

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不随意運動(パーキンソン病)

パーキンソン病とは

振戦(ふるえ)、筋強剛、無動、姿勢反射障害を主症状とします。原因不明の病気ですが、脳内のドーパミンという物質が減少してしまう病気です。よってドーパミンまたは類似薬を投与することで症状の改善がみられます。ロンドンのパーキンソン先生が19世紀初頭にみつけた病気です。

一般的な治療

投薬のガイドラインにそって、薬での治療が行われますが、病気の進行を止めることはできません。病気の進行に伴い、薬が多くなり、徐々に効き目がなくなり、副作用が出てきます。そうすると外科治療の適応となります。外科治療としては脳深部の破壊術と電気刺激の2つがありますが、最近は後者が優勢です。外科治療は症状の改善を目的とするもので、病気の進行を止めることはできません。

当科での治療

薬での治療に満足が出来なくなった患者さんに、症状に応じて脳深部の破壊術、電気刺激療法を行っています(日本定位・機能神経外科学会技術認定施設(No.09002))。また経頭蓋磁気刺激の治験を行っており、中には症状がとても改善した方もおられます。お気軽にお問い合わせください。

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ジストニア(痙性斜頚など)

ジストニア、痙性斜頚とは

不随意運動症に分類される病気です。ジストニアとは躯幹筋や四肢の筋の異常運動の一種で、特に姿勢の異常が強く見られます。遺伝性のものと、発症の原因がある症候性に分けられます。また症状により、全身性と部分性に分類されます。痙性斜頚は頸部ジストニアともいわれますが、頸部の筋の緊張により頭がいつも一定の方向を向いたり、頸の運動に制限があったり、頸の不随意運動を主症状とする病気です。

一般的な治療

これらの疾患には、薬物治療、リハビリテーションなどに加え、特に痙性斜頚には精神療法なども 行われてきました。

当科での治療

痙性斜頚は症状によりボツリヌス毒素治療を行います。その際、筋電図を測定しながら、目的の筋に選択的に注射を施行します。ジストニアには症例により、深部脳刺激療法を行います。この際も、画像ガイドおよび神経生理学的な方法により、より効果的で安全な手術をめざしています。

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顔面けいれん

顔面けいれんとは

片側の顔面の筋が自分の意思とは関係なく収縮を繰り返す病気です。典型例では目の周囲の筋から始まるり、次第に口の周囲に広がります。一般的には中年以降に見られる病気です。ひどくなると、目が開けられなくなり日常生活に支障をきたします。顔面神経が脳から分枝する部分で血管がこれを圧迫することが原因です。

一般的な治療

耳の後から手術を行い、血管の圧迫を除去する手術(微小血管減圧術)が有効です。

当科での治療

最近、ボツリヌス毒素の注射がこの病気の治療に用いられています。当院ではボツリヌス毒素の治療と、より有効性の高い微小血管減圧術を患者さんと相談しながら選択しています。

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痙縮

痙縮とは

脳卒中や脳・脊髄の外傷後に生じる四肢の麻痺です。うまく力が入らないけれども筋肉が緊張している状態です。よくみられる、足関節がぴくぴく動く症状や、歩いていると肘が曲がってくるなどは痙縮の症状に含まれます。

一般的な治療

一般的にはあまり外科的治療の対象になっていません。リハビリテーションや筋弛緩薬の投与が行われます。

当科での治療

詳細な運動機能の解析や電気生理学的な検査などを行います。その結果に応じ、症状の改善が期待される場合は、末梢神経の手術などを提案させていただきます。

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脊椎・脊髄疾患

脊髄腫瘍

脊髄腫瘍は

脊髄の外にできるものと脊髄の中にできるものがあり、それぞれ髄外腫瘍と髄内腫瘍と区別します。

髄外腫瘍

神経鞘腫、髄膜腫が代表的な 髄外腫瘍であり、基本的に全摘出可能です。各種のモニタリングを行いながら手術を行っています。

髄内腫瘍

上衣腫
髄内腫瘍中最も頻度が高く、脊髄中心部より発生しゆっくりと成長するため、発見されたときにはかなり大きいことが多い。浸潤性腫瘍ではないので、基本的に手術での全摘出は可能です。

星(状)細胞腫
脊髄腫瘍の約30%を占め、脊髄浸潤性腫瘍です。症状、画像所見等から、他の変性疾患との鑑別が問題となることがあります。病巣をほんの少しだけとって調べる生検術が必要となることがあります。放射線療法などをあわせた集学的治療を行っています。

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頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアとは

椎間板の突出により、神経が圧迫され上肢への放散痛を特徴とする神経根症状や脊髄そのものが圧迫されその部位の脊髄髄節症状や下肢へ至る脊髄症状、さらに重篤な膀胱直腸障害をきたしうる疾患です。

一般的な治療

通常症状出現から数ヶ月間は安静、鎮痛消炎剤投与などの保存的加療が施されますが、これになお抵抗し不変または悪化する場合は、頚椎前方固定術を代表とする手術療法が考慮されることがあります。

当科での治療

手術顕微鏡を用いた頚椎前方固定術を行っております。椎間固定には、自家骨、チタニウムまたセラミックなどが用いられます。

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頸部脊柱管狭窄症(頚椎症性脊髄症)

頸部脊柱管狭窄症(頚椎症性脊髄症)とは

頚椎の退行変性により、骨の変形や椎間にある黄色靭帯の肥厚等により、脊髄を入れている脊柱管が狭窄し、脊髄が圧迫されることにより神経症状を呈するものです。上肢のシビレ、手指の巧緻運動障害、歩行障害、下肢のシビレなどを呈します。

一般的な治療

脊髄を入れている脊柱管の後方を形成している椎弓を切除、または拡大して再形成する椎弓拡大形成術が行われます。

当科での治療

後頸部筋群を可及的に温存すべく、片側から椎弓に至り対側後頸部筋群を温存しつつ、椎弓切除または椎弓形成術を施行しています。

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腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは

椎間板の突出により、下肢の感覚や運動を司る神経根が障害され、下肢疼痛やシビレ、運動障害を呈するものです。

一般的な治療

通常症状出現から数ヶ月間は安静、鎮痛消炎剤投与などの保存的加療が施されますが、これになお抵抗し不変または悪化する場合は、ヘルニア摘出術(Love法手術)が考慮されます。

当科での治療

手術療法につきましては、手術顕微鏡下Love法手術を施行しています。創は3cm程度で術後の安静期間は半日ほどです。

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腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは

腰椎部脊柱管が主に退行変性により狭小化し、ここを通る神経を圧迫して間歇性跛行(少し歩いては腰を曲げるか座るかして休憩しなければ歩行できない)と呼ばれる典型的歩行障害を呈するものです。

一般的な治療

脊柱管を拡大するために、椎弓切除が行われます。最近はより低侵襲な開窓術と言う方法も普及してきています。

当科での治療

顕微鏡下で片側進入にて両側の開窓術、さらに対側の神経の減圧まで行っています。これにより従来の椎弓切除に比し、術後安静期間や入院期間の短縮を可能としています。現在、当院では関連施設と共同で、「腰部脊柱管狭窄症に対する減圧術(片側進入両側開窓術)の有効性と術後不安定性の評価」の調査を行っております。

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小児神経疾患

先天性奇形

先天性奇形とは

さまざまな胚、胎生期に発生する中枢神経系の形成不全を扱う。生まれつき頭蓋骨・脳・脊髄の一部に奇形がある場合があります。脳神経外科でよく遭遇する疾患としては先天性水頭症、二分脊椎(脊髄披裂、脊髄脂肪腫)などがあります。また、これらがいろいろ組み合わさる場合もあります。(1) 先天性水頭症、(2) 大脳奇形(全前脳胞症など)(3) 後頭蓋窩の奇形(小脳形成不全、Dandy-Walker 症候群、Chiari奇形など)(4) 頭蓋閉鎖不全症(二分頭蓋など)(5) 脊椎閉鎖不全症(二分脊椎、脊髄髄膜瘤など)(6) 脊椎脊髄の奇形(脊髄脂肪腫、先天性皮膚洞など)(7) 頭蓋縫合早期癒合症 多岐にわたります。

二分頭蓋、頭蓋骨欠損

一般的な治療

一般的に、出生前に診断されることが多いが、出生後明らかになる疾患もある。脳外科では手術の対象になる疾患については、症状に応じて手術が行われます。

当科での治療

当科では、産科や小児科と共同で治療に取り組んでいます。顕在性二分脊椎など出生後直ちに手術をしなければならない疾患にも対応します。脊髄脂肪腫など脊髄神経が絡む場合においては各種モニターで監視しながら手術を行います。頭蓋縫合早期癒合症などコスメティックな治療に関しては形成外科と共同で手術を行っています。

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先天性水頭症

先天性水頭症とは

脳脊髄液は脳室内の脈絡叢というところで産生され、脳内を循環しています。水頭症とは、脳の中に脳脊髄液が過剰に蓄積し脳に悪影響を及ぼす状態を指し、新生児および乳児の場合は、脳の働きに悪影響を与え、発達を阻害します。水頭症は発生原因によって原発性水頭症と続発性水頭症に分類されます。原発性水頭症は赤ちゃんがお母さんのお腹の中で、形作られる過程において何らかの異常が発生し生じた水頭症です。続発症水頭症は脳が形成された後に何らかの出来事、すなわち出血したり、感染が起こったり、脳腫瘍に伴ったりした際に起こってくるものです。

二分頭蓋、頭蓋骨欠損

一般的な治療

水頭症の原因は様々であり、その程度や合併する疾患によって治療法は異なるため、まず専門的な小児神経外科医の診断と治療が必要です。一般的に先天性水頭症に対する手術治療としては、脳室腹腔短絡術(V-Pシャント)と言われるものが一般的です。これは,脳脊髄液の流れる経路を新たに作る、いわゆるバイパスのようなものです。シャントシステムというカテーテルとバルブを脳室内、皮下、腹腔内に埋め込む手術ですが治療後は他の子供達と同じように日常生活や学校へ行くことも可能です。症例によっては、内視鏡を使用して髄液の循環路を形成し、体に出来るだけ異物をおかずに治療出来る場合もあります。

当科での治療

出生前に見つかった場合は、産科および新生児科の先生方と協力し、水頭症の状態や治療法、今後の可能性について、生まれる前にご両親にお話ししております。出生後は当院NICU(新生児集中治療室)にて治療を行います。当院ではNICUおよび小児医療センタースタッフがガイドラインを基に一貫した治療を行っており、小児水頭症治療で問題になる感染に関しても、小児医療センター発足後はありません。脳室腹腔短絡術に関しても、内視鏡的技術を併用しシャント機能不全を減らす試みを行っております。

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先天性奇形

二分脊椎

二分脊椎は、生まれつき脊椎の癒合が完全に行われず一部開いたままの状態にあることをいいます。二分脊椎には、表面から明らかに脊髄等の異常がみえるタイプ(顕在性二分脊椎)とみえないタイプ(潜在性二分脊椎)があります。

一般的な治療

顕在性二分脊椎のほとんどの子供は排尿と排便に障害があり、生まれた時から下肢が麻痺し感覚が欠如しています(脊髄披裂)。生後早期に背中の閉鎖手術を行い、また合併する水頭症をコントロールする必要があります。潜在性二分脊椎症では、特に腰仙部で脂肪がかたまりとなって脊髄に絡みつく場合、顕在性と類似の症状がみられることもありますが(脊髄脂肪腫)、まったく症状のないことも多くあります。また、水頭症などはほとんど合併しません。脊髄披裂では障害部位から下位の運動機能と知覚が麻痺したり、合併症として脳に異常を生じたり、さらに膀胱や直腸の機能にも大きく影響を及ぼすことがあります。

当科での治療

二分脊椎症の治療には脳神経外科、小児科、泌尿器科、整形外科、小児外科、リハビリテーション科などのチーム医療が必要となります。

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